子どもの未来の健康は足元から!
- 戸原 遼先生
- 10月16日
- 読了時間: 3分
更新日:10月24日
〜親が知っておきたい「足育」の重要性〜
一年で約1,000人の足と歩行を診ている整形外科医の戸原です。お子さんの足、気にかけていますか?近年、子どもの足や歩行に問題を抱えるケースが非常に多くなっている状況があります。未来の健康を守るために、今すぐ家庭で取り組むべき「足育(あしいく)」についてご紹介します。
「足育」とは何か?
「足育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「足育」とは、単に足を鍛えるだけでなく、足、足の指、爪、さらに靴の選び方までを含めた知識を得た上で、子どもの健康的な足を育てることを意味しています。
なぜ今、足育が重要なのでしょうか。その背景には、環境の変化があります。
コロナ禍の影響や猛暑などにより、子どもが外で歩く機会が減ってしまっている現状があります。これにより、運動習慣がなくなり、筋力が落ちてしまう状況に陥っています。これは、高齢者の体力低下を表す「フレイル」という状態に似た状況が、若者や10代、さらにはそれ以下の子どもたちにも起きてしまっていることを示唆しています。
「大丈夫だろう」と放置してはいけない理由
子どもの足はまだ成長段階にあり、バランスがしっかり取れない状態です。筋力が落ちた状態で放置してしまうと、足のアーチが崩れてしまう(扁平足など)ことにつながり、立った時に筋力で関節を支えきれない状態が起こります。
この状態を放置してしまうと、将来、痛みが出てきたり、さらに長期的には関節が変形してしまったりする原因になるのです。そのため、早い時期から治療やサポートを行うことが非常に重要になります。
親が気づいてあげるべきサイン
子どもは、大人とは違い、「足が痛い」「しびれる」といった具体的な症状を自分から訴えることがなかなかできません。だからこそ、親御さんがしっかりとその変化に気づいてあげる必要があります。
もし、お子さんに以下のような様子が見られたら、それは治療が必要な状況になっているサインかもしれません。
非常に疲れやすい、すぐに座り込んでしまう
歩きたがらない
姿勢が悪い
立っている時に足が内側に倒れてしまっている
少しでも気になる状況があれば、早めに専門機関を受診することが大切です。
なぜ子どものうちに治療を始めるべきなのか
治療は、早ければ早いほど良い結果につながります。
子どもの足はまだ柔らかく、骨が完全にできていなかったり、関節が完成していなかったりする成長段階にあります。この時期であれば、骨格の形を良い方向に強制(矯正)することが可能だからです。
大人の足は骨や関節が固まってしまっているため、元の良い形に戻すことは難しいのですが、子どものうちであれば、治療によって成長を良い形でサポートすることができます。
例えば、足のバランスが崩れている場合、インソール(中敷き)のような装具を使い、足の良い形を支えてあげることで、その形に合わせて成長をサポートできるのです。これは、昔、布で足を巻いて成長を抑えていた中国の習慣(纏足)があったように、子どもの足の成長が外的要因によって影響を受けやすいことの裏返しとも言えます。
足のバランスが崩れ、筋力が落ちてしまっている子どもに対しては、運動習慣をつけるサポートはもちろんのこと、装具治療やリハビリテーションを組み合わせることで、将来的なトラブルを防ぐことが重要です。
お子さんの足の健康は、未来の健康を左右する土台です。ぜひ一度、お子さんの足を見て、何か心配なことがあれば、お気軽に専門のクリニックにご相談ください。
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本コラムは、足と歩行のクリニックリジェ六本木院 戸原遼医師に執筆していただきました。
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